NoTitle_20190716

 火曜日は、横浜の彼女の家に泊まる。
 京浜東北線で品川まで行き、乗り換えると1時間弱で着く。ひと気のない駅から歩いて15分、途中彼女からメールで頼まれた食材をスーパーで買って帰る。どうやら彼女は今日、飲み会らしい。
 エレベーターで5階まで上がり、角の部屋のドアを合鍵で開ける。
 スーパーの袋を置き、手を洗い、手早く冷蔵庫の中へしまう。
 
 彼女は一週間で会う彼女達の中で唯一の年下だ。それが理由かはわからないが、中でも一番かわいい。
 彼女とは新宿の服屋で知り合った。店員という訳ではなく同じ客同士として。あまりにもチャーミングだったのでめったにしないが、声をかけて連絡先のメモをわたしたのだった。
 いつもと同じ様に床にちらかっているモノを片付けるところから始める。
 奥から彼女の飼い猫のドラがのっそりと現れる。
 
 この猫は捨て猫がのら猫になろうかという雨の日に、彼女が拾ってきたのだった。昔は小さくてかわいかったのだが、今ではすっかりボス猫の風格があり、狭い家の中ではややかわいそうな気がする。
 ミャーミャーといつもの通り「はらへった」とさいそくをするので、ある程度片付けたところで缶詰を開けてやった。
 
 豚肉とピーマンの野菜炒めをつくっているところで彼女が帰ってきた。
 「おかえり。」
 「ただいま。」
 「あ、私、食べてきたから」
 「知っているよ。僕の分。」
 彼女はドラにも「ただいまー」と手を伸ばし、嫌がる彼を強引になでまわした。
 「お風呂入るね。」と言い、さっさと彼女は風呂場へ向かう。
 自分の方はできあがった野菜炒めを皿にうつし、テレビの前へ移動する。ロクな番組がないのでラジオに切り替える。手持ちぶさたなので、視線をさまよわせると、彼女が定期的に買っているファッション雑誌が雑然と置いてある。
 「ま、いっか」と思いつつその雑誌をパラパラとめくり野菜炒めを食べる。

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