「24日」

 そのテレビゲームの話を、匠が聞いたのは、月曜日、匠の隣に

座るかおりからだった。

「ゲーム?」「うん。私の弟がずっと熱中しててね。この間なんか、

学校ずる休みしてやってたみたい。」「ふーん。」

匠の六年一組でも、何人かが最近、学校を休んでいる。

先生は、その理由をはっきりとは言わないが。皆ゲームのせいだと話していた。

 そのゲームは「光の石の伝説」と言って、家のパソコンと接続

して、複数のプレーヤーと協力して進めるというものだった。

匠は小さい頃、一度、ゲームで酔ってしまい気分が悪くなったこと

から、スポーツの方がおもしろいと感じていた。

また、クラスの中にも、ゲーム好きなやつはたくさんいたが、

パソコンにつなぐことは許されていない家庭が多く、

「光の石の伝説」はあまり普及していなかった。

学校に来ない子が現れ始めたのは今年の3月頃から

だった。

 「匠君はゲームはしないの?」

かおるが聞いてきた。匠は、ゲームをしないことを

かおるに話すと、「女子はゲームなんてしないよね」

と聞いた。―3/21(月)

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