そのテレビゲームの話を、匠が聞いたのは、月曜日、匠の隣に
座るかおりからだった。
「ゲーム?」「うん。私の弟がずっと熱中しててね。この間なんか、
学校ずる休みしてやってたみたい。」「ふーん。」
匠の六年一組でも、何人かが最近、学校を休んでいる。
先生は、その理由をはっきりとは言わないが。皆ゲームのせいだと話していた。
そのゲームは「光の石の伝説」と言って、家のパソコンと接続
して、複数のプレーヤーと協力して進めるというものだった。
匠は小さい頃、一度、ゲームで酔ってしまい気分が悪くなったこと
から、スポーツの方がおもしろいと感じていた。
また、クラスの中にも、ゲーム好きなやつはたくさんいたが、
パソコンにつなぐことは許されていない家庭が多く、
「光の石の伝説」はあまり普及していなかった。
学校に来ない子が現れ始めたのは今年の3月頃から
だった。
「匠君はゲームはしないの?」
かおるが聞いてきた。匠は、ゲームをしないことを
かおるに話すと、「女子はゲームなんてしないよね」
と聞いた。―3/21(月)