「ロングロングサタデー」

その部屋にはジャズが流れていた。
席に座ると、僕はホットカフェオレを頼んだ。そして、さっき借りて
きた図書館の本をリュックから取り出した。
やや薄暗い店内だったが、喫茶店の最低限の機能は
残しているらしい。他にも本を読んでいる人はいた。
2ページ目を読んでいると、カフェオレが運ばれてきた。
右手側の窓に目をやると、学生達が改札を抜けていくのが見
えた。なにせ、平日の朝9時だ。いつもなら僕もあんな風に電車
へ向かってる。
ジャズの音を聴きながら。カフェオレを飲む。
見たこともない場所へ行ってみようと思った。
今日はその場所の宿で休もう。温泉宿ならなお良し。夕食がおいし
ければ満点だ。僕は、さっそく旅のプランを思い浮かべ。財布の中身
をちらと計算してから、カフェオレを一気に飲み干した。
夜行バスのチケットを買い。福井に行くことに決めた。
「今日はおいしいものを食べて、宿のテレビでも見て、のんびり
しよう」と彼は思っていた。口笛なんか吹いていた。
深くシートにもたれ、バスが動き出した。
夜はまだ寒く、温かいものがおいしい季節だった。―4/18(土)

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