旅_高知_DAY2_20190427_土_2

 絶景なる海を前にして思うことと言えば、「こういう時に誰かと一緒に来れたらなぁ」ということだ。
 ひとりで、こんな海なんかに来ていたりすると、周りのカップルや、親子、謎のおっさんのグループなんかにジロジロと見られたりなんかして、心自由に、ラフな気持ちで目の前の海を堪能できないのだ。(それでもウロウロしていたが)

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 絶景をひととおり堪能して、コーヒーでも飲んで帰ろうかと思ったが、駐車場付近のお土産売り場のあたりに良さげな喫茶店が無い。というか、看板があるにも関わらず閉店している。しょうがない。もう帰ろうか。
 
 ずいぶん気安くなったMARCHに乗り込み、窓を開け、車を発進させる。いやはや車の中のにおいってのは好きになれんもんだ。そのまま昨日と同じENEOSに向かい、10:37にも関わらずなぜか居た昨日と同じ魅力的なおねぇさんに「満タンで」と声をかける。桂浜まで往復したのに\382-だった。MARCHってそんなに燃費良いの?!まあ文句は無い。そして数時間しか乗っていないが日産レンタカーへ。新入社員みたいなコが居て、これから出発する車が居るからまだ入るなと、身振り手振りで教えてくれる。なんかおもろい気持ちになる。車を無事に入れて、カウンターへ。行きと同じお姉さんが料金の精算をしてくれる。この人はなんかすごい嬉しそうな顔するなぁと思いつつ店を後にする。さあ、やることが無くなったぞ。
 
 ぶらぶら歩き通して良さげな喫茶店を見つける。とりあえず入るとガラガラ。窓際の席に座ってコーヒーを頼む。品が良い店。少し待っていると、ホットコーヒーとともに、小さなドーナッツが付いてくる。サービスらしい。思わず笑顔になる。しかしまあ、東京だったらこの店もぎゅうぎゅうなんだろうなーと思い。地方がうらやましくなる。しかし、今日どうするかな。まだ午前中だぜ。んー、またこうしている間に今日という一日が終わりそうだ。なんかもったいないなという気持ちになってくる。しょうがない、プランは無いが、とりあえず出るか、外でたらなんかあるだろ、という気持ちでトイレを借り、外に出る。付け加えておくと、この喫茶Monaはトイレも素晴らしくきれいで、かつ店主のこだわりがうかがえる店だった。本当に東京にもこんな店が近くにあったらなぁ・・と思うような店だった。
 
 外に出て、とりあえず、映画でも観ようと思いつく。さっそくiPhoneで検索してみると、近くにあたご劇場という映画館があるらしい。さっそく歩いて行ってみることにした。
 12:15に着いてみると、もう12:00の回が始まっている。店内には誰も居ない。どうすりゃいいんだときょろきょろしていると、左手のドアから初老の男性があらわれた。どうやら店の人らしい。「まだ、入れます?」ととりあえず言ってみる。「入れますよ。」としっかりした返答が返ってくる。ほっとして、大人1枚で入場券を買う。\1,000-と安い。
 
 中に入り、一番後ろの真ん中の席に座る。こじんまりした映画館で数人がいた。音を立てないように椅子に座ると、じっとしたまま画面を見つめていた。映画館で映画を見るのはひさしぶりだ。そして、一人で映画館で映画を観たのは初めてだ。
 
 その日観た「ロンドン、人生はじめます」という映画はまぁ、なかなか良かった。特に感想は無いが、観ていて不快に思うことも特になかった。つまり良い映画だった。この時点で13:50。やれやれ、旅に出るんじゃなかったかな。と思い始める。
 昼でも食おうとぶらぶらするが、食指が動く店が無い。初日に入ったうさぎ亭へ行ってみるも、どうやら土曜は定休日らしい。残念。ぶらぶらすると、「ランチ」の看板がある喫茶店を発見。って、この店今朝入ったところじゃねーか。うーん、どーよ、一日に同じ店に2回入るって。さすがに店の人も不審に思うだろうよ。と数秒逡巡するが、まあいーか、と中に入る。
 「ランチ、まだやってます?」とカウンターの女性に尋ねると、まだやっているとのこと。助かったと思い、今朝とは違う奥の席に座る。ランチは結構ボリュームがあり、食後のコーヒー付きにも関わらず\1,000-という安さ。この店のファンになってしまったな。
 食べ終わって、会計をするときに、ウェイトレスの女性に、「あの、高知でお勧めの観光地とかってありませんかね」と聞いてみた(店に他に人は居なかったのだ)。彼女は「え?!」という感じでこっちを見たのち、「うーん・・・」と唸り、「おかみさーん」と、店主らしきおかみさんに声をかけた。
 カウンターで洗い物をしていた女性がこちらを向いたので、あらためて、自分はこのGWに高知に観光に来ているのだが、特に調べずに来てしまったため、おすすめの観光地があれば教えてほしいということを話した。
 このおかみさん、というか、ウェイトレスの女性もだが、やっぱり美人で、とりわけ、おかみさんの方は、独特の雰囲気があり、この人がこのこだわりの店を作ったのかなぁ、とか、女性で店を切り盛りするってのはやっぱり大変なんだろうなぁ、とか、質問とは別のことを実際には考えていたりした。
 
 その二人は、駅前に高知の観光案内所があるから行ってみたらよいということや、過去の女性の旅人がこれから行くといっていた牧野植物園の話や、伊尾木洞という洞窟の話をしてくださった。お礼を言い、また来ようと思いつつ、駅前の観光案内所ヘ向かい、さっき教えてもらった牧野植物園への行き方を教えてもらう。
 今日最後の便のバスがあるらしく、それに乗り、牧野植物園へ。
 
 牧野植物園は、有料で、大人\720-だった。うーん、帰りの便のバスがあと1時間ちょっとで出ることを考えると、竹林寺の方へも行きたいし・・・と迷った結果、先に竹林寺の方へ向かうことに。
 竹林寺は何とも、おそろしい場所だった。つまり、まあ、こんなところで夜一人で居ると、確実に心をやられるなと思うような超然とした場所だったのだ。たまに思うのだが、神社なんてのは、一般人に公開すべきではないのではないかと思う。あきらかに神様が「こっちへ来るな」と言っているような雰囲気を放っている場合があるからだ。こわいもの見たさで神仏の領域に入るやから(自分のことだが)を近づけないためにも、一般公開は特定の日時、場所に限定した方が良いのかもしれんな。

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 いよいよ、日も暮れ、最終のバスにも間に合い、今日の宿、藤崎旅館へ向かう。JRのホームに入ったが、ん?ジョルダンで調べた電車じゃないようなどーも。だって特急XXって書いてあるし…と思い、ジョルダンで調べなおすと、既に出発していたよう。次の便を調べると、何と1時間後なのだ。うそだろ、高知でJRなんだぜ・・・。絶句するも、そういえば、高校生がみんな走っていたなと思いだす。だからか。1時間なので、その辺をぶらぶらして時間をつぶそうとするも、暗くなってきたし、若干寒いので、結局駅前のBOOK OFFで時間をつぶす。こういう旅人の一人の夜のさびしさってないよな。としみじみ実感する。この、誰も知り合いの居ない、よりどころの無い人生よ。と、気分はブルーになる。
 
 待ちに待った電車に乗り込み、JRの伊野駅に向かう。途中の駅からおかしなことに気づく。毎回、停車駅で車掌さんが外に出て切符を回収しているのである。えー!ウソでしょ、江ノ電か!?と思う。地方なんだなぁ。JR高知駅から離れるにつれ、田舎の空気、雰囲気が充満し始める。こういう町で育つ子は、いったい何を娯楽にして生きているのだろうかと思う。(都会に住んでいたって同じなんだが)果たして、もし、自分がこの町で暮らすとしたら、いったい何をして生計が立てられるのだろうかとも思う。そんなことをブルーな頭でぼんやり考えながらJR伊野駅に到着する。
 
 驚いたことに、20:00にも関わらず、駅前は真っ暗。おそろしく人が居ない。まるで、とんでもない山奥にでも来たような雰囲気だ。とりあえず、明日の着替えが無いので、予め探しておいたコインランドリーへ向かう。いや、本当に人が居ない。なんだか怖くなってきた。
 コインランドリーで洗濯している間、夕食でも食べようと外へ。昨日と同じように一人で居酒屋で一杯飲もうという腹だ。そして、今日は無性にからあげが食べたいので、これもまた、電車の中で調べておいた店へ。しかし、この伊野の町は、とんでもなくローカルな町であり、向かった居酒屋も、居酒屋というよりかは普通の一軒家で、どうやら地元の人だけの店らしい。当たり前だが、入る勇気もなく、ローソンでお酒とおにぎりとLチキを購入し、本日の宿、藤崎旅館へ向かう。
 藤崎旅館もこれまた普通の民家だった。中に入っても誰も出てこない。5分くらいどうしようかと思っていると、不意に奥から奥さんらしき人が現れる。名前と本日予約していた旨を告げると、あっさり部屋へと案内してくれた。
 ここもまた広い、10畳くらいの和室に通され、風呂はもう入れると教えてくれた。さっきローソンで買ったおにぎりと缶チューハイを飲みつつ、コインランドリーへ戻り、洗濯物を回収する。
 いやはや、とんだ旅だなと思いつつ、風呂に入り(やっぱり民家のお風呂だったのでシャワーだけ浴びた)、歯を磨き、そのまま寝た。うーん3日目はどうなることやら。孤独感を抱えつつ、就寝。

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