その男はいつもの通り、何を書こうかと、少し頭をひねった後、いつもの調子で、ペンを走らせ始めた。﹁少し先に公園が見えるだろ?﹂彼はかつおぶしみたいなガサガサした声で言った。﹁その先へ進むんだ、そうすれば大きな公園に出る、もっと大きな公園さ﹂道なんて尋ねるんじゃなかったとその少年は思った。その男の説明は、公園という単語しか出てこなかったからだ。﹁・・・それで、その先の小さな公園を抜けて、池のある公園がある。図書館はその側だよ。﹂ニッと歯を見せて、その男は少年の顔を見た。自分では完全に説明したと思っていたのだ。﹁ありがとう。﹂少年は右頬を少し上げて︵ひきつらせて︶笑みを返し、先へ進んだ。海が見えた、日中の光を受けて、遠目からキラキラと光が反射していた。男の説明は、全く意味を成していなかったのだった。道路に沿って2kmくらい歩いた。良い天気だった。ふと道路を挟んだ右手側に、公立の建物が見えた。あれが図書館だろうと、少年は見当を付けて、歩き始めた。︱6/14(日)