手帳手記_20170806_日_手帳手記

クーラーの効いた、やや肌寒い部屋にいるその男は、そう、満たされなさから、マリファナに匹敵する中毒性のあるiPhoneに手を伸ばし、まさか連絡が来てんじゃネーカと、メッセンジャーや、LINEや、instagramなんてもの(ようは電子手紙のたぐい)をチェックする、いつもの様に。
だが、いつもの様に、そんなサプライズは無く、一度手にしたそのオモチャを手放すと、もっとさみしくなると言わんばかりにヒカル画面を凝視し、大事な日曜の夜の時間を、スティーブジョブズの贈り物とともに過ごしていた。
彼は、そう、平日においては、この倦んだ毎日を「変えてやろう変えてやろう」と考えている訳だが、それが土日に入ると、ピタリと動けなくなってしまうのだった。それは突然思考回路を奪われたかの様に。
そんな彼がこうやって文を書く気になったのは、そう、かれが昔更新していたブログのためである。おそらく彼以外誰も知らないであろう、また、これから、そのブログにアップされるであろう、この文章をもって、彼は再び現実に戻ることに成功したのであった。すなわち、自分の文章には、彼のさみしさを打ち消す効能があったのである。

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